私を倒すだけの自信と覚悟があるのなら、いつでも挑んできてかまわないのだぞ
今日のサスケはラインハルト気取り?
あんた、ばかぁ⁈
それはアスカのまねでしょ(エヴァンゲリオン)
田中芳樹著「銀河英雄伝説」(以下、銀英伝)の魅力にとりつかれて早や数十年。
これほど魅力的で中身の濃い小説、アニメは他にあったでしょうか!
残念ながら、底知れない銀英伝の魅力を分析して語るなど、いっかいのファンの私には恐れ多くて不可能です。
銀英伝を話題にすると、「その見解は間違っている、俺に話をさせろ」と銀英伝に一家言持っている提督方が次々と現れて、浅はかな私などすぐに轟沈させられるだろうことは明白ですが、これまでの私の人生でどのように銀英伝を楽しんできたのか、ということは体験談として書けますのでまとめてみました。
ブランデー入りの紅茶でも飲みながら読み流してください。
銀英伝のOVA(オリジナルビデオアニメ)
私と銀英伝との出会いは、中学生のときに、近所に新しくできたレンタルビデオショップから、銀英伝外伝「我がゆくは星の大海」を借りてきたことから始まります。(当時はVHSのレンタル1本300円ぐらいでした)
銀英伝の第一印象は「キャラ絵がなんか変~」「モビルスーツが登場しない~」などで、あまり積極的に観たいとは思いませんでした。三國志みたいな英雄の国盗り合戦&宇宙戦争モノだから頑張って観ていれば少しは面白くなるのでは、と軽い気持ちで見始めた記憶があります。
しかし、ビデオを観るやすぐに、ボレロのBGMで繰り広げられる「惑星レグニツァ上空遭遇戦」の雰囲気に私はすっかりのまれて、その後の人生に大きく影響を与える一生涯の付き合いとなるアニメとなってしまったのでした。銀英伝中毒患者がまたひとり…。
銀英伝の原作
原作は、高校生から大学生にかけて、夢中になって何度も読み返しました。
数十年経過した今でも、銀英伝は自宅の本棚の一角を占領しています。
文庫版は今や老眼交じりの私には手に取るのが気が引けるほどの圧倒的な字の小ささと情報量を誇ります(笑)
しかし、それでいて田中芳樹さんの作品って読みやすいから不思議ですよね。
アルスラーン戦記しかり、マヴァール年代記しかり、読みだしたら止まらないです。
私は原作を読み、政治学、組織論、史学、軍事戦略、人生哲学、リーダーシップ、個性豊かなキャラクターが放つ名言の数々、紅茶の飲み方(笑)など多くを学んだと思います。
特に政治学に関しては、実際に大学での専攻を政治学科にしてしまうほど傾倒しました。
挙句の果てには、卒論も民主政治に関する内容を書き、もはや銀英伝なくては語れない大学時代となったのでした。
銀英伝に学ぶ政治学
先日書店にて「銀河英雄伝説に学ぶ政治学」なる本をみつけてしまいました。
初版が2019年9月なので、新アニメ版劇場公開に合わせて刊行したもののようです。
著者は1973年、1975年生まれの銀英伝好きなお二方、銀英伝をきっかけに政治学者になられたとのこと、やはり、同世代の人間、考えることは同じなようです。
どなたか、こういう内容の本を書くと思っていたんですよね~
読んでみると、想像通りの内容で、政治学の解説に銀英伝の事例がたくさんちりばめられていて面白い。
平易な言葉で解説していてさらっと読めますので、入門書としても良いのではないでしょうか?
昨今、世界では民主制以外の政治体制を採用する国家の方が多いという現実があります。
たしかにトリューニヒトがいいか、ラインハルトがいいか、といえばラインハルトがいいに決まっていますから。
腐敗した衆愚政治に陥り、ヤンのような才能ある人物も活かせない民主制のどこが優れているのか?
日本の政治の現状を鑑みても、やはり苦悩は尽きませんね。
銀英伝と宝塚のコラボ
銀英伝と宝塚のコラボは2012年ですね。
私は「ライオンキング」とか「オペラ座の怪人」とか好きな劇団四季のミュージカルは観ているのですが、宝塚といえば2009年に妻に誘われて星組仙台公演「ミュージカル再会」を観て、どちらかというと女性向けの観劇という印象が強く、それ以来あまり関心を持ったことがありませんでした。
(当時星組トップの柚希礼音さんは今でもテレビで見かけるとうれしいです)
しかし、内容が銀英伝とあらば話は別、宝塚は女性向け観劇などとのたまっている場合ではありません。
コラボの話を聞いて、恋愛描写などほとんどない銀英伝が宝塚の演目になじむのかといささか心配ではありましたが、私はいてもたってもいられなくなり、有楽町にある東京宝塚劇場へ飛んでいきました。
長蛇の列に並んで開場時間を待つ間は、周囲は女性ばかりでとても気が引けましたが、しかし、それを上回る好奇心で、宝塚が銀英伝をどう表現するんだろうとワクワクが止まらなかったのを覚えています。
中年男子がひとりで並んでいる光景に興味を持ったのか、ひとつ前に並んでいた見知らぬ女性から「ヅカファンの方ですか?」と話しかけられ、「銀英伝のファンです」と応えたら、女性曰く「なるほど原作ファンですね、なるほどなるほど」と何がなるほどなのかよく分かりませんでしたが、多少その場に溶け込めたのではないかと緊張がほぐれました。
内容はすばらしかった!
ストーリーというより、演者の華やかさがすごかった!
宙組トップの凰稀かなめさんがラインハルトをはじめ、提督陣の豪華な事といったら圧巻でした。
銀英伝の見せ場である艦隊戦のシーンも、レーザービームが飛び交う様子などうまく表現していました。
そう言えばたしかに、銀英伝って女性ファンが相当数いるんですよね。
私の身近にも「提督の名前でしりとりできるよ」と豪語する女性が何人かいますもの。
そもそも銀英伝と宝塚の親和性は高いと思われます。
原作が1987年に完結して25年も経ってから宝塚の演目に選ばれるのだから銀英伝おそるべし。
銀英伝のパソコンゲームと音楽
私は学生時代に銀英伝のパソコンゲームを徹夜でやりすぎて廃人になりかけました。
それほどハマったゲームタイトルのひとつです。
PC98で銀英伝Ⅰ、Ⅱ、Ⅲ、DOS/V機でⅣ、Ⅴをプレイ済ですが、中でも印象深いのはシリーズ中でも傑作と名高い「Ⅲ」です。
「Ⅲ」は陣取り合戦型のシミュレーションゲームですが、戦術・戦略面がよく作り込まれたゲームだったと思います。
私は同盟軍プレイが好きで、ヤン、シトレ、ビュコック艦隊を盾にしてその隙間から攻撃力の高いアッテンボロー、ウランフ艦隊で応戦!なんていう戦いを繰り広げていました。パエッタはすぐ行動不能になるから嫌い(笑)
ヤン艦隊がなかなか行動不能にならない「負けない強さ」があるので、少ない戦力で粘りに粘り、そうそうたる顔ぶれの帝国軍を各個撃破で行動不能に陥れていくなど、原作を彷彿とさせる展開になるのが魅力でした。まさに不敗の魔術師。
帝国軍プレイでは能力値の高い人材が豊富すぎてゲームが面白くないんですよねー
ラインハルト、キルヒアイス、ロイエンタール、ミッターマイヤー、ビュッテンフェルト、ミュラー、メックリンガーetc
数人の名前を挙げただけでも、ほとんど無敵の陣営ですね。
敵はヤンひとりみたいなもんだからゲームにならない(笑)
やはり同盟軍プレイで劣勢を挽回していくことに銀英伝の醍醐味を感じます。
また、「Ⅲ」のゲーム進行を盛り上げるBGM音源がMIDI対応であったのも当時画期的でした。
私はバイトでやっとこさ稼いだお金でローランド社のSC55mk2を入手してPC98に接続し、築40数年の木造ボロアパートにMIDI音源のフルオーケストラのような環境を構築して、ドヴォルザーク新世界第4楽章をBGMで流しながら「ファイエル!」などと帝国軍艦隊に主砲斉射を浴びせかけ、騒音で近所迷惑な宇宙統一にいそしんでいました。
ファイエル‼
銀英伝の魅力のひとつが音楽であることはいうまでもありませんが、音楽CDも学生時代に購入し、現在でもときどき聴いています。
主題歌を唄う秋吉みちるさんの澄んだきれいな声や、小椋佳さんの哀愁漂うメロディーなど現在でも全く色あせない名曲ぞろい。
クラシック音楽ももともと好きですが、OVA「回廊の闘い(後編)」の艦隊戦BGM、ショスタコーヴィチ交響曲第5番第4楽章でのビッテンフェルト艦隊突撃!など鳥肌モノですよ、マジで。
そして、ゲーム中のBGMは必ずクラシックのフルオーケストラでお願いします。
流行りのオンラインゲームはやめて、オフラインのじっくり型の方が良いと思います。
絶対ヒットします、間違いない。
銀英伝事典
時間に追われる現在でも、手軽に銀英伝に浸れる良書が「銀河英雄伝説事典」です。
何かの作業の息抜きにサクッと手に取って数秒で銀英伝の世界に浸ってすぐ現実に戻ってこれます(笑)
人名事典、艦船名事典、年表、用語集のパートの後に続いて、文庫後半3分の1ぐらいが対談集や当時の徳間文庫版解説を再集録していて、この解説がとても面白いんです。
例えば文庫第8巻の解説はロードス島戦記の水野良さんでしたが、やっぱり水野さんも、銀英伝やアルスラーン戦記の影響をモロに受けているのだとよく分かりました。
さいごに
2018年頃に、ラインハルトを松坂桃李さんが演じる舞台も製作されたようですが、残念ながら私は仕事が忙しくて観る機会がありませんでした。ヤンがLUNA SEAの河村隆一さんっていうのがちょっと…笑
銀英伝は、今後もいろいろなコンテンツでリメイクされていくのでしょう。
さて、ここまで銀英伝によって彩られた私の半生について、私自身の振り返りの意味を込めてまとめてみました。
銀英伝を話始めたら何時間でもしゃべり続けますから誰か止めてください。
できれば飲みながら話したいですね。
この記事を最後まで読んでいただいた方はおそらく相当な銀英伝マニアか変わり者でしょうけれども(ほとんどいらっしゃらないと思いますが)「ゴミ記事だな」といった攻撃は一切受け付けませんのであしからず。
攻撃の兆候を捕捉した場合には、伝家の宝刀を発動します。
全艦、逃げろ!
(終わり/銀河の歴史がまた1ページ)
コメント