試練と憧れの剱岳登山!(2/3) 別山尾根へ挑戦

別山尾根雪渓北アルプス
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2017年7月、剱岳のベースである山小屋、剣山荘で目が覚めました。昨日の夜、どしゃ降りだった外は、静かになっていて風の音さえ聞こえません。体調万全、天気は回復する見込みです。地道に身につけてきた山登りの総合力、集大成を今こそ発揮する時。
これ以上のコンディションはない! きょうは気合入れていくぞ~!

いざ、試練と憧れの剱岳へ! 別山尾根攻略

大半の荷物は剣山荘へデポし、山頂アタック用の小さなリュックに最小限の装備を持ちました。
ヘルメットは剣山荘のレンタルしました。そして、今回の剱岳遠征で新たに導入したギア、石井スポーツで購入したセルフビレイ(自己確保)用のハーネスとカラビナを忘れないよう腰に装着しました。

外に出ると、夜明け前の冷たく静かな澄んだ空気が、緊張感を高めます。
いざ、山頂へ向けてまいるぞ~!

剣山荘の夜明け

剣山荘を出発し、順調に一服劔、武蔵のコルを抜けると、足場の不安定なガレ場の急登になります。

ガスって視界不良のため展望は全くなく、ソロ山行は心細いため、前をいく4名パーティを見失わないようについていくことにしました。向こうも後続の私のことは認識しているようです。時折、前の人が落石を起こすので(注意はしていると思うが、それでも発生するもろいガレ場)、ある程度距離を取って注意しながら進んでいきます。

上部に今にも落ちそうな大岩が見えてきました。これが前剱大岩ってやつか…
大岩の左側の溝をクサリに頼りながら通過していきます。

別山尾根の大岩

視界不良の中、滑りやすい岩稜をさらに登っていき、稜線に出たなぁと感じつつ進んでいくと、前剱頂上に到着しました。剣山荘から前剱頂上まで2時間弱でしょうか。少し休憩を取っていると、周囲が明るくなってきました。
お、これは、まもなくガスが晴れるな?

前剱山頂

のんきにおやつのきびだんごを口にして燃料補給していると、ガスがどんどん晴れていきます、と同時に、周囲の光景が明らかになってくることで自分がとんでもない場所にいることに気づき始め、恐怖心が襲ってきます!な、な、な、な、なんじゃこりゃ~‼
両側がするどく切れ落ちたアップダウンの激しい稜線の真っただ中にいるではないか~!!!

別山尾根鎖場

いやはや、これはすごいわ。今まで経験したどの高峰とも比べ物にならないスリルだよわ~

気合を入れなおし、前剱から足場の不安定な稜線上の岩場をたどって進んでいくと、大きな岩峰が見えてきます。
下を見たら目が回り下腹部がひゅーひゅーする鉄のブリッジ4mを渡った後、岩峰に取り付いて、クサリ20mを頼りに右上し、岩峰の右肩を越えてさらにクサリ20mを頼りに下降します。(写真は前を行くパーティが行動中)

別山尾根はしご

私は、岩峰のところを、一応、セルフビレイを使いながら行動してみました。はじめてのセルフビレイは思ったより扱いやすく、確保した後は「最悪でも落ちない」という安心感から、気持ちに余裕が生まれてパフォーマンスがあがることを知りました。

登ったり下ったり気の抜けない岩場が連続し、前剱の門平蔵の頭といった名所を通過していくと、1時間ほどで平蔵のコルに出ました。後ろを振り向くと、とんでもないところを登ってきているのがよく分かり、我ながら呆れます。

別山尾根雪渓

そして、いよいよ登りのクライマックス、難所であるカニのタテバイが前方に立ちはだかります。カニのタテバイは、垂直に近い50mほどの岩場を登りきる必要があり、「登っている人間の姿が、あたかもカニがタテに這っているようにみえる」ということからつけられた名前です。

カニのたてばい

クサリや所々に打ち込まれている金属製のくさびを足掛かりに、両手両足脳みそフル稼働で壁をよじ登ります。先行者が石を落としたらどうしよう…先行者そのものが落ちてきたらどうしよう…手に汗握るスリリングなクライミングが続きます。

カニのタテバイ

不思議なことに、この辺まで来ると高度感にも慣れて恐怖が薄れ、大自然を相手に汗を流し身体を動かしていることが楽しくなってきました。セルフビレイを活用しながら、カニのタテバイをなんとか無事クリアし、うしろの絶景にシャッターを切りました。ほんと、セルフビレイ持ってきて良かった。それから、腕のリーチを長く使う技術など、ボルダリングも経験しておいて良かったと思いました。

別山尾根絶景

カニのタテバイを越え、ガレ場の登りを30分ほど行くと…ついに
やってやったぜ! 試練と憧れの剱岳、登頂~!!!

剣岳山頂

山頂の祠の前で写真の撮り合いっこ。山頂では共通の目的を成し遂げた見知らぬ人間同士、みんな仲良しです。パーティと思っていた前の4人は、実はソロ男子が各1名、女子2名の別グループであることがここで分かりました。みんな心細いから私も含めて自然と固まりになって行動していたようですね。

山頂では360度の大パノラマを満喫し、遂にやったぞと爽快な達成感を味わうと同時に、この山頂に古来から修験者が登っていたのかと感慨深いものがありました。

安全に下りるまでが山登り 剱沢小屋へ

家に帰るまでが遠足です、という言葉を聞きますが、山登りは安全に下りるまで、です。山登りでは、山頂に到達した気の緩みと、気づかない体力筋力の疲労から、下りで事故に合うことが多いのです。
まして、劔岳別山尾根は一般登山ルート最高難度で、かつ、登りと下りのコースが大部分異なるので、気を引き締めて下りる必要があります。最後まで集中力を切らさないことが肝要です。

下り始めてすぐに、難所のカニのヨコバイが現れます。

カニのヨコバイ

めちゃくちゃ高度感のある岩棚を、クサリに頼りながらカニの様に横移動するのですが、上からのぞき込むと足元が全く見えず、クサリにつかまりながらつま先の感覚だけで足の置き場を探します。しかも足の置き場は数センチしかないという笑ってしまいそうなハンデつき。もちろん落ちたら助からないでしょう。

楽しいアスレチックですね~、と不思議なことにもはや恐怖心がマヒして驚かなくなっている自分がいました。

カニのよこばい

続きまして、恐怖のハシゴ15m。はじめに後ろ向きでハシゴにとりつく瞬間が怖い…

別山尾根下りはしご

だいぶ下りてきましたね。完全に晴れまして、後ろには山頂がきれいに見えます。

剣岳遠景

ハイマツの陰でライチョウの親子と出会いました。

剱岳ライチョウ

おおーきれいだー、うしろに前剱頂上が見えます。剱岳山頂は前剱に隠れてしまって見えません。

前剱

一服劔まで戻ってきました。眼下には、右にきのう宿泊した剣山荘、左に今日宿泊予定の剱沢小屋、その間に剱沢雪渓が見えています。きのうはガスっていて剱沢雪渓がどこまでも広がる氷の斜面に思えていましたが、晴れて上から全貌を見ることができました。

剱沢全景

剣山荘でデポった荷物を回収し、ヘルメットを返却すると、雪渓を横切って剱沢小屋に向かいました。

剱沢雪渓横断

剱沢小屋に到着してひと安心。下りは全部で3時間ほどかかりました。

剱沢小屋

チェックインすると、シャワー室を貸してもらえたので貴重な水を大事に使って汗を流しました。その後、夕食まで小屋の周りをぶらぶらして贅沢な山の時間を過ごしました。きょうも安全に下りることができ感謝です。

剱岳全景

試練と憧れの剱岳登山!(3/3) 日本一高所の秘湯みくりが池温泉 へつづく

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