いてっ! 俺に当てんにゃよ~
掲題のプレースタイルとは、ドライブ攻撃型とかカットマン守備型とかの分類ではなく、点数の取り方についてのスタイルということで話をすすめます。
プレースタイル3類型
私の経験上、卓球のプレースタイルには、
② 相手の出方を見極めて反撃するタイプ
③ 上記ふたつの融合型タイプ
の3つの型があると思います。競馬の先行、差し、自在みたいな考え方ですけれど。
これは才能や性格によって自然とできてくるクセのようなものです。
得意な技術で先行するタイプ
有名どころでは、平野みう選手、早田ひな選手、吉村(兄)選手、若い時の張本選手など、もともと身体能力に恵まれているか、得意技術がはっきりしている選手に多いタイプです。
自分のエースパターンを序盤から繰り出し、点差が開いたところでバリエーションを広げて散らし、最後まで捕まらないように逃げ切る戦い方です。みう選手は速攻、ひな選手は身体能力を活かしたパワードライブ、吉村選手は読みにくいサーブから崩して主導権を握る、といったところです。
かつての21点制では後半捕まる可能性がありましたが、11点制では先行してすぐにセット終盤に持ち込めるため、対戦相手に心理的なプレッシャーをかけることができて有利なんではないでしょうか?
ただし、エースパターンが事前に研究されて相手に効果を消されてしまうと、とんだ番狂わせ負けが起きてしまうこともあります。
相手の出方を見極めて反撃するタイプ
石川選手、丹羽選手など、頭脳や気持ちで強くなってきた対応力の高い懐の深い選手に多いタイプです。
対戦相手は序盤に効いていた作戦が中盤以降に徐々に効かなくなるため、主導権が握れずパニックを起こし始めます。そこへエースパターンを繰り出して終盤になるに従って有利な展開に持ち込み、差し切る戦い方です。たとえば丹羽選手は相手の攻撃の見極めができるに従ってカウンターが炸裂し始めます。
対応力を発揮するまでに余裕があった21点制では有利だったと思いますが、11点制になってからは対応する前に逃げ切られることもあり、勝ち負けにムラがあるといえます。
上記ふたつの融合型タイプ
伊藤みま選手、水谷選手、大人になった張本選手などオールラウンダーがこのタイプです。中国の代表選手はほとんどがこのタイプだと思います。対戦相手の戦型や心理状態に応じて、先行したり出方待ちをしたりする柔軟な戦い方です。
あの先行タイプに見える愛ちゃんも、多くの対戦者が「後半に得意な展開を封じ込められてしまった」といったコメントをしていることを鑑みると、意外とこの融合型タイプなのかなという感じがします。愛ちゃんは卓球界という重圧を背負ったことにより、勝つためにいろいろなことを考えてもがき、本来の前陣速攻から懐深い独自の愛ちゃん型を切り開いていったのではないでしょうか。そういう意味でも他の人に真似できない華のある選手でした。
張本選手はまだ力まかせに先行したいというプレーが多いものの、展開を読んだ大人なプレーも増えてきました。押したり引いたりという柔軟さがさらに強化されれば、中国トップ選手に対抗できる可能性も広がります。
自分はどのスタイル?
アマチュアからトッププレーヤーまで試合で勝ちたいと望んでいる卓球選手は誰もが、自分がどのプレースタイルなのかをある程度認識して戦っていると思います。
ちなみに私自身は強くないですけれど②タイプだと思っています。私はこれといって秀でた強烈な技を持っていませんので、先行逃げ切りで試合に臨むと、終盤で技の引出し不足に陥ります。どちらかといえば展開を見極めて、相手のより嫌がるパターンを終盤にかけて繰り出して追い詰めていくような戦い方をします。対戦相手の攻撃パターンが分かってくる終盤はわざと攻撃させてカウンターも狙います。もし決まれば心理面をも粉砕できるからです。強烈な技ではないとしても、対戦相手の待ちをはずしたような「考えたボール」を送ることも効果的です。
そのためには、コース、回転、スピード、打球タイミング、ボールの高さ、ボールの深さ、の6点をしっかり意識して対戦相手にボールを送り、自分のどんなボールのどんな要素に対してなぜ対戦相手が失点しているのかを序盤から中盤にかけてよく見極めることが大切です。自分の打った手、対戦相手の打った手、その結果を1ポイントごとに記憶して分析し、得点も失点も自分が主体となって起こしているように試合の流れを掌握し、要所要所で勝負を決めに行く作戦を実行します。
まとめ
それは途中のプロセスがどうであったにせよ、最後の瞬間で点数が相手より優っていれば勝ちということです。
「勝てそうだ」と思える対戦相手には、パターンをしっかり定めて得点を積み重ね、他のやり方をあまり使わないこともあります。しかし、たいていの場合は、勝つために最善と思われるパターンを詰将棋のように論理立てて出し切ることになります。
また、対戦相手との力量差やプレースタイルの組み合わせ、試合の流れによっては自身のスタイルを変えざるを得ないこともあります。勝つためには自分の長所と対戦相手の短所で勝負しなければならないのですが、自分の得意とする技術が、必ず対戦相手に対する長所になるとは限らないためです。
その最善と思われる手段を、試合前(想定練習)、試合中(ひらめき)、そして再戦に向けて試合後(反省と練習)に探し出せる能力が勝つためには大切です。
卓球は、試合で最後の瞬間に対戦相手より1点多く勝ち越しているために、常に頭をフル回転させ、状況判断しなければならないスポーツです。そして自分の考えた作戦が奏功し勝利した時はとても達成感があり、また勝ちたいと思う好循環につながっていきます。来た球をただ打ち返しているうちは試合で勝てるようにはならないのです。
コメント
はじめまして。仙台で卓球をしております50代の男性です。
こちらの記事とても勉強になりました!
「来た球をただ打ち返しているうちは勝てない」
まさに自分のことだなあと。
是非また卓球の記事をお願いします!
楽しみにしております。
neonさん、コメントありがとうございます!
記事では偉そうなことを書いていますが、私も何十年も試行錯誤しては負けてます笑
ごくたまに作戦が当たって格上の選手に勝利した時はホントうれしいですよね。
これからも謙虚に卓球頑張ろうと思っています。