鹿児島県の霧島温泉郷は、新湯、湯之谷、硫黄谷、野々湯、殿湯、林田、丸尾、栗川、関平の9つの温泉の総称です。そのどれもがマニアにはたまらない素晴らしい温泉ですが、今回はその中から新湯温泉を紹介したいと思います。(2010年訪問時の写真を使用しています)
霧島神宮
鹿児島市内から新湯温泉までは車で1時間強でしょうか。温泉に向かう途中、霧島神宮に立ち寄ってみました。
霧島神宮は創建6世紀、霧島山の度重なる噴火により焼失と再建を繰り返した長い歴史ある神社です。1866年、寺田屋事件で負傷した坂本龍馬が、西郷隆盛の斡旋で薩摩領内の温泉地等に潜伏し、その際、同行していた妻のおりょうとともにこの霧島神宮他に訪れたのが、日本で最初の新婚旅行とされるエピソードがあり、ミーハーな私は一度訪れてみたいと思っていました。
敷地に入ると何かエネルギーを感じます。木々も、鳥居も、石畳も、何もかも隅々まできれいですね。
霧島神宮の本殿です。立派!
神代の古えよりなんとかのミコトが何やらしたとか諸伝説があり、延喜式にも記述がある由緒正しい神社のようですが、ちょっと何のミコトか漢字が長すぎて私にはよく分かりませんが(笑)、この鮮やかな朱色の神殿の凛としたたたずまいと、周囲に立ち込める厳かな神々しい雰囲気から、強いパワーが伝わってくるのは私でも感じます。現在の建物は1715年に薩摩第4代藩主島津吉貴公の寄進により重建されたものということですが、豪華絢爛な神殿から当時の島津公の信仰の深さがうかがえます。国の重要文化財に指定されています。
推定800年の高さ約38mの立派な霧島スギのご神木。
坂本龍馬も新婚旅行の際にこのご神木を眺めて感動し、姉の乙女(おとめ)へ手紙でその感動を伝えたとのこと。ちなみにこのご神木には神官が見える枝がありますので、行かれた方は探してみてください。見えた方は運気が上昇するそうです。
さざれ石の~いわおと~な~りて~
三の鳥居の近くに鎮座するさざれ石。さざれ石は「小さな石」という意味で、その小さな石が巌(いわお)となって表面にコケが生えるまでの過程を「とても長い月日」を表す比喩として表現しているんだそう。たしか我が仙台の青葉城の神社にもさざれ石があったはず。山梨の武田神社にもあったかな。国家の象徴のようなものですかね。
おみくじをひいてみました。私は昔から良いも悪いもすべてひいてしまう強烈な「引きの強さ」でホント人生疲れます。もう少しおだやかな運気を手に入れたいものです。
新湯温泉 国民宿舎新燃荘
霧島温泉郷のひとつ、新湯温泉は霧島神宮から山間の道を車で20分ほど進んだところにあります。霧島連山の新燃岳の中腹、海抜920mの谷あいにあり、新燃岳の噴火、台風による土石流など自然災害等に何度も見舞われながらも、経営者の執念とその強力な温泉力ゆえにコアなファンに支えられ、何度も立ち上がってきた「ホンモノ温泉」です。1995年の南日本新聞の日本秘湯番付では西の大関とされました。
私の新湯温泉に対する評価は、全国トップをつけてもいいと思うほどです。流行りのオシャレできれいな設備などは何もありませんが、温泉の実力としては満点だと個人的に思っています。
敷地に入ると意外と大きな木造施設が見えてきます。硫化水素臭が立ち込めていてまさに湯治場といった印象。ときどき野生のシカやイノシシが姿を見せることもあるとのこと。夜は満点の星を眺められるそうです。
川沿いの湯小屋です。
こちらは国民宿舎新燃荘の宿泊棟。
訪問時はお客さんが全然いなくて、素晴らしい混浴露天風呂に貸し切り入浴させてもらいました。(写真は2010年のものなので、現状とは違うかもしれません。)
泉質は単純硫黄泉(硫化水素型)。お湯の感じから炭酸も含まれているように思いました。湯量が豊富なため温泉が生きています。特筆すべきは温泉の白さ。硫化水素が溶け込んだ濃い~温泉です。これほど強烈な濃さは全国でも珍しいと思います。
内湯がこれまた最高!
私は露天風呂よりもこちらの情緒あふれる内湯の方が好きかもしれないです。静寂の中、青みがかったきれいな白濁湯に身をゆだねることができます。少し熱め。貸し切り状態で、私は良質なお湯に長湯してのびてしまいました。(30分以上入浴すると危険とのことですので注意)
さいごに
全国の良質な温泉を求めて旅をしているマニアの私ですが、繰り返しますが、新湯温泉の湯の力は完璧です。初めて入浴したときの私の精神状態がたまたまそう感じさせたのかもしれませんが、しかし、その後10年以上、新湯温泉ほどの良さを感じる白濁湯にはまだ出会っていません。
新湯温泉では鱒と鯉を約1,000匹養殖していて、瀬戸内の本塩で味付けした塩焼き、自家製の味噌の中に鯉のぶつ切り、山菜、キノコを投入する田舎鍋が絶品で宿泊客に人気とのことです。ぜひ次回は長期宿泊でのんびりしながら至極の温泉とともに料理も味わってみたいと思っています。
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